皆さんこんにちは!
堀建設株式会社、更新担当の那須です。
本日は新シリーズ第1回「未来インフラ素材探訪」!
今回は「自己修復コンクリート」の仕組みと活用事例について詳しくご紹介します。
「自己修復コンクリート」とは、ひび割れが発生すると内部に含まれる特殊な微生物やポリマーが働いて、自ら傷をふさぐコンクリートのこと。従来の補修工事では、クラック(ひび割れ)を発見してから専門業者が現場に入り、注入や打ち換えを行う必要がありました。しかし、自己修復コンクリートなら、ひび割れが幅0.3mm以下であれば、自動的に修復が始まるため、維持管理コストの大幅削減が期待されています。
1. 自己修復コンクリートの仕組み
自己修復コンクリートには大きく分けて2つの方式があります。
① 微生物(バクテリア)利用型
コンクリート内部に「炭酸カルシウムを生成するバクテリア」と「栄養塩(乳糖など)」を混ぜ込みます。ひび割れが発生し、外部から水分が侵入すると、バクテリアが栄養塩を代謝して炭酸カルシウムを生成。この生成物がクラックをふさいでくれる仕組みです。
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メリット:低コストで長期的に効果が持続
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デメリット:バクテリアの活性条件(温度・pH)が限られる
② ポリマーカプセル封入型
ひび割れが生じると同時に破壊される微小カプセル内に、液状のポリマー(エポキシ樹脂など)を封入。クラックとともにカプセルが破れ、樹脂が流れ出してひび割れ内部に充填・硬化し、補修します。
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メリット:幅広い環境下で安定した修復性能
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デメリット:材料コストがやや高め
2. 活用事例紹介
事例① 高速道路橋脚の耐久性向上
ある高速道路の橋脚補強工事では、微生物利用型自己修復コンクリートを採用。施工から3年後に実施した点検では、ひび割れのうち約85%が自然修復されており、定期補修の頻度を従来比で半減できました。
事例② トンネル内壁の長寿命化
山岳トンネルの内壁にポリマーカプセル型を導入。湿潤環境でも安定的にひび割れをふさぎ、漏水リスクを低減。トンネル全長の維持管理コストを年間約20%削減する効果が得られています。
3. 導入時のポイントと課題
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適切な方式の選定
現場環境(温度・湿度・pH)や予算に応じて、微生物型かポリマー型かを選択しましょう。 -
配合設計の最適化
コンクリート強度や耐久性を確保しつつ、自己修復機能を発揮できる配合比を専門技術者と協議して決定します。 -
試験施工による検証
本施工前に小規模な試験打設を行い、修復速度や補修後の強度を確認することが重要です。 -
長期モニタリング計画
センサーや定期点検でひび割れの発生・修復状況を把握し、効果をデータで評価しましょう。
自己修復コンクリートは、今後のインフラ長寿命化に大きく貢献する素材です。ひび割れを放置せず、自動的にメンテナンスできる未来のインフラを、ぜひ一緒に支えていきましょう!
以上、新シリーズ第1回「未来インフラ素材探訪」でした!
次回は「超軽量複合材の可能性」をテーマに、軽量化と高強度を両立する最新素材をご紹介します。どうぞお楽しみに!
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