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月別アーカイブ: 2025年4月

第2回「未来インフラ素材探訪」

皆さんこんにちは!
堀建設株式会社、更新担当の那須です。

本日は新シリーズ第2回「未来インフラ素材探訪」!
今回は「超伝導ケーブル」の仕組みと活用事例について詳しくご紹介します。

「超伝導ケーブル」とは、電気抵抗がゼロになる超伝導状態を利用し、大電流を損失なく送電できる次世代の送電素材です。従来の銅やアルミニウムケーブルでは送電ロスが避けられず、長距離送電や大容量化に課題がありました。しかし、超伝導ケーブルを用いれば、電力ロスをほぼゼロに抑え、送電効率を飛躍的に高めることが可能になります。

  1. 超伝導ケーブルの仕組み
    超伝導ケーブルには大きく分けて2つの方式があります。

① 低温超伝導方式(LTS)

  • ニオブチタン(NbTi)やニオブスズ(Nb₃Sn)などの合金を冷却材(液体ヘリウム)で約4K(−269℃)まで冷却し、超伝導状態を実現。

  • メリット:実績が豊富で信頼性が高い

  • デメリット:冷却設備のランニングコストが高い

② 高温超伝導方式(HTS)

  • 酸化物系セラミックス(YBCOなど)を液体窒素(77K/−196℃)で冷却し、比較的高温で超伝導状態に。

  • メリット:冷却コストが低減でき、メンテナンスが容易

  • デメリット:材料の製造コストが高く、脆弱性が課題

  1. 活用事例紹介
    事例① 都市間長距離送電プロジェクト
    ある大都市間を結ぶ送電実証実験では、HTSケーブルを採用。約50km区間で試験した結果、従来送電に比べて電力ロスを90%以上削減し、ピーク時の安定供給に成功しました。これにより、再生可能エネルギーの遠隔地導入が現実的に一歩前進しました。

事例② 超高電力データセンター内配線
大手データセンターでは、LTSケーブルを内部配線に導入。高密度サーバールームで発生する膨大な電力を損失なく供給できるため、空調負荷の低減と電力コスト削減を同時に達成。冷却システムとの連携で運用効率が大幅に向上しました。

  1. 導入時のポイントと課題
    適切な冷却方式の選定
    設置環境や運用コストを考慮し、LTSかHTSかを選択しましょう。都市部ではHTS、研究施設やデータセンターではLTSが適するケースが多いです。

冷却インフラの整備
冷却機器(冷凍機・タンク・配管)の設置スペースとメンテナンス計画を事前に検討。耐震・防火対策も忘れずに行いましょう。

長期信頼性評価
定期的な温度・電流監視センサーを導入し、超伝導状態の維持状況をリアルタイムで把握。トラブル発生時の迅速対応体制を構築することが重要です。

超伝導ケーブルは、電力インフラの脱炭素化と高効率化を同時に実現する革新的素材です。将来的には、スマートグリッドや海底ケーブル、宇宙エレベーターの送電にも応用が期待されています。未来のインフラを支える一翼として、超伝導技術をぜひご注目ください!

以上、新シリーズ第2回「未来インフラ素材探訪」でした!
次回は「自己発電コンクリートの可能性」をテーマに、振動や熱エネルギーを電力に変える最新素材をご紹介します。どうぞお楽しみに!

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第1回「未来インフラ素材探訪」

皆さんこんにちは!
堀建設株式会社、更新担当の那須です。

本日は新シリーズ第1回「未来インフラ素材探訪」!
今回は「自己修復コンクリート」の仕組みと活用事例について詳しくご紹介します。

「自己修復コンクリート」とは、ひび割れが発生すると内部に含まれる特殊な微生物やポリマーが働いて、自ら傷をふさぐコンクリートのこと。従来の補修工事では、クラック(ひび割れ)を発見してから専門業者が現場に入り、注入や打ち換えを行う必要がありました。しかし、自己修復コンクリートなら、ひび割れが幅0.3mm以下であれば、自動的に修復が始まるため、維持管理コストの大幅削減が期待されています。


1. 自己修復コンクリートの仕組み

自己修復コンクリートには大きく分けて2つの方式があります。

① 微生物(バクテリア)利用型
コンクリート内部に「炭酸カルシウムを生成するバクテリア」と「栄養塩(乳糖など)」を混ぜ込みます。ひび割れが発生し、外部から水分が侵入すると、バクテリアが栄養塩を代謝して炭酸カルシウムを生成。この生成物がクラックをふさいでくれる仕組みです。

  • メリット:低コストで長期的に効果が持続

  • デメリット:バクテリアの活性条件(温度・pH)が限られる

② ポリマーカプセル封入型
ひび割れが生じると同時に破壊される微小カプセル内に、液状のポリマー(エポキシ樹脂など)を封入。クラックとともにカプセルが破れ、樹脂が流れ出してひび割れ内部に充填・硬化し、補修します。

  • メリット:幅広い環境下で安定した修復性能

  • デメリット:材料コストがやや高め


2. 活用事例紹介

事例① 高速道路橋脚の耐久性向上
ある高速道路の橋脚補強工事では、微生物利用型自己修復コンクリートを採用。施工から3年後に実施した点検では、ひび割れのうち約85%が自然修復されており、定期補修の頻度を従来比で半減できました。

事例② トンネル内壁の長寿命化
山岳トンネルの内壁にポリマーカプセル型を導入。湿潤環境でも安定的にひび割れをふさぎ、漏水リスクを低減。トンネル全長の維持管理コストを年間約20%削減する効果が得られています。


3. 導入時のポイントと課題

  1. 適切な方式の選定
    現場環境(温度・湿度・pH)や予算に応じて、微生物型かポリマー型かを選択しましょう。

  2. 配合設計の最適化
    コンクリート強度や耐久性を確保しつつ、自己修復機能を発揮できる配合比を専門技術者と協議して決定します。

  3. 試験施工による検証
    本施工前に小規模な試験打設を行い、修復速度や補修後の強度を確認することが重要です。

  4. 長期モニタリング計画
    センサーや定期点検でひび割れの発生・修復状況を把握し、効果をデータで評価しましょう。


自己修復コンクリートは、今後のインフラ長寿命化に大きく貢献する素材です。ひび割れを放置せず、自動的にメンテナンスできる未来のインフラを、ぜひ一緒に支えていきましょう!

以上、新シリーズ第1回「未来インフラ素材探訪」でした!
次回は「超軽量複合材の可能性」をテーマに、軽量化と高強度を両立する最新素材をご紹介します。どうぞお楽しみに!

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