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月別アーカイブ: 2025年6月

排水処理の基本:透水性舗装の仕組み

皆さんこんにちは!
堀建設株式会社、更新担当の岡です。

本日は「堀建設の技術豆知識」、今回は「排水処理の基本:透水性舗装の仕組み」をテーマに解説します。道路や駐車場、歩道などで雨水を適切に管理する技術は、豪雨時の浸水リスク軽減や地下水涵養(かんよう)に貢献し、環境負荷を抑制します。透水性舗装はその代表的な手法です。


1. 透水性舗装とは?

透水性舗装は、舗装材料に多数の空隙(すきま)を設け、雨水をそのまま地中に浸透させる舗装工法です。従来のアスファルト舗装では表面に滞留した雨水が側溝に流れ込み、大雨時には溢水の原因となる一方、透水性舗装は舗装と地下層で雨水を一時貯留し、ゆっくりと浸透・排水します。

  • メリット
    • 雨水が路面に溜まりにくく、スリップ事故やハイドロプレーニング現象を防止
    • 側溝・排水管の容量を超えにくく、内水氾濫リスクを低減
    • 地下水を涵養し、地下水位の維持や都市のヒートアイランド対策に寄与
  • デメリット
    • 目詰まり(ポア詰まり)による透水性低下リスク
    • 強度や耐久性が通常舗装より劣る場合があり、設計荷重に注意が必要

2. 仕組みと材料構成

透水性舗装は主に3層構造で構成されます。

  1. 表層(透水性アスファルト)
    • 粗骨材(砕石)をビチューメン(改質アスファルト)で接着し、空隙率を15〜20%程度確保
    • 空隙構造が連続的に貫通し、表面の雨水を下層へ透過
  2. 中層(透水性基層)
    • 砕石(20〜40mm程度)を締め固めずに敷き並べ、空隙率を30〜35%程度に
    • 雨水を一時的に貯留し、下部にゆっくり排水
  3. 下層(排水層/地盤)
    • 地盤の透水性を利用、または集水パイプ・透水層(砂利層)を敷設
    • 雨水を地中に浸透させ、自然排水または排水施設へ導く

各層の役割を正しく設計し、材料選定と施工精度を確保することが重要です。


3. 活用事例紹介

事例① 商業施設駐車場の水はけ改善
郊外の大型ショッピングモール駐車場で透水性舗装を採用。従来のアスファルト舗装では雨天時に水たまりが頻発していた場所が、一度の大雨でも駐車スペース全体に水が残らず、利用者満足度が向上しました。また、側溝掃除やポンプ排水の手間も大幅に削減されました。

事例② 公園散策路のヒートアイランド対策
都市公園内の散策路に透水性舗装と透水性インターロッキングを組み合わせ。地中に浸透した雨水が昼間の路面温度上昇を抑え、周辺緑地の蒸発冷却効果と相まって、夏季の歩道表面温度を最大5℃低減する効果が確認されました。


4. 設計・施工時のポイント

  • 空隙率の管理
    各層の目標空隙率を確実に達成するために、材料の粒度管理と締固め調整を行いましょう。
  • 目詰まり対策
    定期的な掃流水洗浄やバキューム洗浄により、路面目詰まりを防止。大気中の細粉や落葉が堆積しやすい場所は特に注意が必要です。
  • 荷重適用範囲の明確化
    車両通行量や荷重条件に応じて、透水性舗装版厚や基層構成を最適化。重交通路には合併舗装とのハイブリッド設計も検討。
  • 法令・指針の遵守
    建設技術審査証明(NETIS)や地方自治体の技術基準、雨水排水条例を確認し、設計図書へ反映することが必須です。

透水性舗装は、雨水管理と環境保全を両立させる持続可能なインフラ技術です。適切な設計・施工とメンテナンスにより、都市や施設の快適性と安全性を長期的に支えます。

以上、今回は「排水処理の基本:透水性舗装の仕組み」をご紹介しました!
次回は「大規模土留め工法の最新技術」をテーマに、擁壁を超える高耐力構造をご紹介します。どうぞお楽しみに!

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擁壁(ようへき)とは?種類と選び方

皆さんこんにちは!
堀建設株式会社、更新担当の那須です。

本日は「堀建設の技術豆知識」をお届けします。今回は「擁壁(ようへき)とは?種類と選び方」をテーマに、基礎から設計・施工のポイントまで詳しく解説します。


1. 擁壁の役割と必要性

擁壁は、道路沿いや造成地、宅地の斜面などで土砂の崩壊や地滑りを防ぐために設置される構造物です。適切に設置された擁壁は、次のような重要な役割を果たします。

  • 安全性の確保
    周辺地盤が安定し、斜面崩落や土砂流出のリスクを軽減することで、居住者や通行者の安全を守ります。
  • 土地利用の拡大
    傾斜地でも水平な造成が可能となり、住宅用地や駐車場、道路スペースを有効活用できます。
  • 維持管理コストの抑制
    適切な擁壁は長期にわたって地盤を支え、補修頻度を減らすことでランニングコストを削減します。

造成前には地形調査や将来的な地盤変動予測を含めた総合的な計画が不可欠です。


2. 主な擁壁の種類と特徴

堀建設では、多様な現場環境に対応する以下の擁壁工法を豊富に実績があります。

① 重力式擁壁

コンクリートや自然石などの自重で土圧に耐える、最も一般的な方式です。

  • 構造イメージ:厚みのある壁体と幅広の基礎(フーチング)で安定を確保
  • メリット
    • 設計がシンプルで施工管理が容易
    • 大量施工に向いており、コストパフォーマンスが高い
  • デメリット
    • 高さが増すほど壁厚と基礎幅が大きくなり、コストと掘削量が増加
    • 重厚感が強く、狭小地では施工が難しい場合がある

② 補強土擁壁(アンカー・グリッド工法)

内部にジオグリッドや金属アンカーを埋め込み、土と一体化させて強度を高める工法です。

  • 構造イメージ:土と補強材が一体化し、薄くても高い耐力を発揮
  • メリット
    • 壁厚が薄く、狭いスペースでも施工可能
    • 地震時や動的荷重に強く、軽量化にも貢献
  • デメリット
    • 材料費や施工管理コストがやや高い
    • アンカーの定着長さや張力管理に専門的な技術が必要

③ 張出し(コンソール)式擁壁

基礎に打ち込んだフーチングから張り出す形で壁体を支える構造です。

  • 構造イメージ:逆T字型フーチングの上に立ち上がり壁が載る形状
  • メリット
    • 壁体がスリムで美観に優れ、敷地の有効利用が可能
    • 重力式に比べて基礎掘削量を抑制できる
  • デメリット
    • 設計計算が複雑で、基礎工事の精度管理が厳格
    • 一部の地盤条件(例:真砂土)には不向きな場合がある

④ 無筋コンクリート擁壁(透水型)

コンクリートに透水性を持たせ、背面の水圧を緩和しつつ荷重を受け止める工法です。

  • 構造イメージ:透水性コンクリート製のパネルを積み重ね、背面に砂利層を設置
  • メリット
    • 排水設備を簡素化でき、メンテナンス性が高い
    • 自然石積みのような景観演出が可能
  • デメリット
    • 強度が低いため、高負荷の現場には適さない
    • 目詰まりによる透水性能の低下リスク

3. 擁壁選びのチェックポイント

最適な擁壁を選定するには、以下の要素を総合的に判断しましょう。

  1. 地盤・立地条件
    • 斜面勾配、地質(粘土質・砂質・礫混じりなど)、地下水位
    • 周辺地形や隣接構造物とのクリアランス
  2. 荷重条件・耐震性能
    • 土圧に加え、建物や車両の重量、地震時の土圧増加を考慮
    • 液状化リスクや積雪荷重など特殊荷重への対応
  3. コストとスケジュール
    • 初期施工費用、工期、重機・材料調達の可否
    • 将来的な点検・補修費用を含めたライフサイクルコスト
  4. 景観・周辺環境配慮
    • 地域の景観条例や近隣への見え方
    • 緑化可能な法面保護材や植生マットの併用

専門技術者による地盤調査と構造解析をもとに、これらの条件を満たす最適な工法と材料をご提案します。


4. 施工時の留意点とアフターケア

  • 排水設計:背面に透水管や排水層(砂利)を設け、雨水・地下水を速やかに排出し土圧を緩和
  • 施工精度管理:基礎打設時の転圧やコンクリート養生、アンカー張力管理を徹底
  • 法令・許認可:擁壁の高さや用途に応じて構造計算書の提出や許可申請を確実に実施
  • 点検・メンテナンス:定期的にクラック確認、排水機能チェック、アンカー張力の再調整を行う

施工後も長期にわたる安心を提供するため、堀建設ではアフターフォローも万全に行っています。


擁壁は暮らしや社会インフラを守る重要な構造物です。堀建設株式会社では、最新技術と豊富な実績を活かし、最適な擁壁設計・施工をワンストップでご提供します。

以上、今回は「擁壁とは?種類と選び方」をご紹介しました!
次回は「排水処理の基本:透水性舗装の仕組み」をテーマに、雨水管理と環境配慮を両立する技術をご紹介します。どうぞお楽しみに!

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