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月別アーカイブ: 2025年5月

第4回「未来インフラ素材探訪」

皆さんこんにちは!
堀建設株式会社、更新担当の岡です。

本日は新シリーズ第4回「未来インフラ素材探訪」!
今回は「スマートメンテナンスセンサー一体型コンクリート」について詳しくご紹介します。

「スマートメンテナンスセンサー一体型コンクリート」とは、コンクリート内部に耐久性に優れたセンサーを埋め込み、ひび割れや変形、温湿度変化などをリアルタイムで検知・記録する次世代のインフラ素材です。従来は外部からの目視点検やポータブル機器による測定が主流でしたが、内部センサー内蔵型なら、点検要員を減らしつつ、24時間365日の継続的モニタリングが可能になります。

  1. センサー一体型コンクリートの仕組み
    センサー一体型コンクリートは大きく2つの方式に分かれます。

① ファイバー光学式分布センサー(DOFS: Distributed Optical Fiber Sensor)

  • ガラス繊維ケーブルをコンクリート打設時に配筋やスラブ内に敷設し、レーザー光の位相変化からひずみや温度を高精度に計測。

  • メリット:長距離・広範囲で連続的に分布計測が可能。測定データはクラウドと連携し、AI解析で予兆保全に活用できる。

  • デメリット:光ファイバー折れや接続部の水密性確保が課題。

② MEMSマルチセンサーアレイ埋設型

  • 微小電気機械システム(MEMS)技術を用いた加速度・ひずみ・温湿度センサーをモジュール化し、モルタル層に埋設。ワイヤレスでデータ送信が可能。

  • メリット:個別故障時も他素子でカバーできる冗長性。バッテリーまたはエナジーハーベスティング(自己発電)で動作できる。

  • デメリット:無線通信環境の整備や電池寿命管理が必要。

  1. 活用事例紹介
    事例① 大規模橋梁の構造健全性モニタリング
    高速道路の長大橋にファイバー光学式センサーを敷設。季節変動による温度ひずみや通行車両の荷重による挙動を継続計測し、「ひずみの蓄積傾向」をAIが解析。重大トラブル予兆を数週間前に警告できるようになり、緊急点検回数を従来の半分以下に削減しました。

事例② 都市トンネル内の環境&応力監視
地下都市トンネルでMEMSアレイを埋設。排気ガスや湿気によるコンクリートの劣化指標(温湿度・CO₂)と、地盤変動による微小振動を同時にモニタリング。データは無線中継装置で管制センターへ送られ、換気運転や補修計画の最適化に役立っています。

  1. 導入時のポイントと課題
    センサー選定と配置計画
    対象構造物の規模や要監視ポイント(支点、継ぎ手、スラブ端部など)をもとに、DOFSかMEMSか、配置間隔や埋設深度を専門技術者と協議して決定しましょう。

通信インフラとデータ管理
現地での通信環境(光ファイバー敷設、無線中継局)を整備し、クラウド連携やデータベース設計を含むIT基盤の構築が必須。セキュリティ対策も念入りに行ってください。

長期耐久性試験とメンテナンス計画
センサーおよび埋設部材の耐久性を加速試験で検証し、データ劣化率を把握。異常時の交換プロセスや、定期メンテナンススケジュールを事前に策定しておくことが重要です。

センサー一体型コンクリートは、インフラの「見えない部分」を可視化し、予兆保全を高度化する革新的技術です。今後は5G/6G通信網やAI解析技術と連動し、スマートシティの基盤として一層の発展が期待されています。

以上、新シリーズ第4回「未来インフラ素材探訪」でした!
次回は「ナノテク強化繊維コンクリートの最前線」をテーマに、軽量化・高靱性を実現するナノ粒子強化素材をご紹介します。どうぞお楽しみに!

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第3回「未来インフラ素材探訪」

皆さんこんにちは!
堀建設株式会社、更新担当の岡です。

本日は新シリーズ第3回「未来インフラ素材探訪」!
今回は「自己発電コンクリートの可能性」について詳しくご紹介します。

「自己発電コンクリート」とは、構造体自身が外部からの振動・圧力・温度差などを利用して微小な電力を生み出し、その電力をセンシング機器や照明、防犯システムへ供給するコンクリートです。これにより、道路・橋梁・トンネルなどの維持管理コスト削減や、インフラのスマート化が期待されています。

  1. 自己発電コンクリートの仕組み
    自己発電機能を実現する方式は主に2つあります。

① 圧電素子埋め込み型
コンクリート内部に圧電材料(PZTやPVDFフィルム)を配置し、車両通過や歩行などの機械的振動を電力に変換。振動が加わるたびに圧電素子が歪み、そのエネルギーを微小電流として取り出します。

  • メリット:歩道や橋面など振動が継続的に発生する場所で安定発電

  • デメリット:高出力化には大面積の圧電配置が必要

② 熱電発電材料混合型
廃熱や地熱など温度差を利用する方式。セラミックス系熱電変換材料(Bi₂Te₃系など)を微粒子状に混ぜ込んだり、熱電素子をモジュール化して埋設します。昼夜や季節で温度差がある環境で、熱電効果により電力を生成します。

  • メリット:振動が少ないトンネル内壁でも発電可能

  • デメリット:温度差の大きさに発電量が依存

  1. 活用事例紹介
    事例① スマート歩道プロジェクト
    ある自治体では、圧電埋設型自己発電コンクリートを商店街の歩道に導入。歩行者や自転車の通過振動を利用し、街路灯や看板のLED照明へ電力供給を実証。夜間の電力を自給自足することに成功し、防犯カメラへの給電も可能になりました。

事例② トンネル内環境モニタリング
山間部トンネルの内壁に熱電発電混合型を施工。昼夜の温度差約10℃を利用して微小電力を生成し、壁面センサー(ひび割れ検知・湿度測定)へ連続給電。外部電源不要で24時間のモニタリング体制を構築し、維持管理の効率化を図っています。

  1. 導入時のポイントと課題
    発電量と設置コストのバランス
    発電性能を高めるほど材料・施工コストが増加します。目的に応じた発電量設計とコスト見積を事前に行い、費用対効果を明確化しましょう。

耐久性・長期安定性の検証
圧電素子や熱電材料は繰り返し荷重や温度サイクルにさらされるため、埋設前に加速試験で耐久性を評価。劣化率を把握し、メンテナンス周期を設定することが重要です。

電力マネジメントシステムの連携
発電した電力を無駄なく利用するため、超低消費電力のセンシング機器や電力貯蔵システム(小型コンデンサー・バッテリー)との統合が必要。スマートグリッド技術との相互接続も視野に入れましょう。

自己発電コンクリートは、メンテナンスフリーのスマートインフラ構築において欠かせない技術です。今後は、IoTやAIと組み合わせた予兆保全システムへの応用が広がるとともに、被災地の迅速なインフラ復旧にも役立つ可能性があります。未来の街づくりを支える一端として、ぜひご期待ください!

以上、新シリーズ第3回「未来インフラ素材探訪」でした!
次回は「スマートメンテナンスセンサー一体型コンクリート」をテーマに、内部埋設型センサーによるリアルタイム構造診断技術をご紹介します。どうぞお楽しみに!

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