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排水処理の基本:透水性舗装の仕組み

皆さんこんにちは!
堀建設株式会社、更新担当の岡です。

本日は「堀建設の技術豆知識」、今回は「排水処理の基本:透水性舗装の仕組み」をテーマに解説します。道路や駐車場、歩道などで雨水を適切に管理する技術は、豪雨時の浸水リスク軽減や地下水涵養(かんよう)に貢献し、環境負荷を抑制します。透水性舗装はその代表的な手法です。


1. 透水性舗装とは?

透水性舗装は、舗装材料に多数の空隙(すきま)を設け、雨水をそのまま地中に浸透させる舗装工法です。従来のアスファルト舗装では表面に滞留した雨水が側溝に流れ込み、大雨時には溢水の原因となる一方、透水性舗装は舗装と地下層で雨水を一時貯留し、ゆっくりと浸透・排水します。

  • メリット
    • 雨水が路面に溜まりにくく、スリップ事故やハイドロプレーニング現象を防止
    • 側溝・排水管の容量を超えにくく、内水氾濫リスクを低減
    • 地下水を涵養し、地下水位の維持や都市のヒートアイランド対策に寄与
  • デメリット
    • 目詰まり(ポア詰まり)による透水性低下リスク
    • 強度や耐久性が通常舗装より劣る場合があり、設計荷重に注意が必要

2. 仕組みと材料構成

透水性舗装は主に3層構造で構成されます。

  1. 表層(透水性アスファルト)
    • 粗骨材(砕石)をビチューメン(改質アスファルト)で接着し、空隙率を15〜20%程度確保
    • 空隙構造が連続的に貫通し、表面の雨水を下層へ透過
  2. 中層(透水性基層)
    • 砕石(20〜40mm程度)を締め固めずに敷き並べ、空隙率を30〜35%程度に
    • 雨水を一時的に貯留し、下部にゆっくり排水
  3. 下層(排水層/地盤)
    • 地盤の透水性を利用、または集水パイプ・透水層(砂利層)を敷設
    • 雨水を地中に浸透させ、自然排水または排水施設へ導く

各層の役割を正しく設計し、材料選定と施工精度を確保することが重要です。


3. 活用事例紹介

事例① 商業施設駐車場の水はけ改善
郊外の大型ショッピングモール駐車場で透水性舗装を採用。従来のアスファルト舗装では雨天時に水たまりが頻発していた場所が、一度の大雨でも駐車スペース全体に水が残らず、利用者満足度が向上しました。また、側溝掃除やポンプ排水の手間も大幅に削減されました。

事例② 公園散策路のヒートアイランド対策
都市公園内の散策路に透水性舗装と透水性インターロッキングを組み合わせ。地中に浸透した雨水が昼間の路面温度上昇を抑え、周辺緑地の蒸発冷却効果と相まって、夏季の歩道表面温度を最大5℃低減する効果が確認されました。


4. 設計・施工時のポイント

  • 空隙率の管理
    各層の目標空隙率を確実に達成するために、材料の粒度管理と締固め調整を行いましょう。
  • 目詰まり対策
    定期的な掃流水洗浄やバキューム洗浄により、路面目詰まりを防止。大気中の細粉や落葉が堆積しやすい場所は特に注意が必要です。
  • 荷重適用範囲の明確化
    車両通行量や荷重条件に応じて、透水性舗装版厚や基層構成を最適化。重交通路には合併舗装とのハイブリッド設計も検討。
  • 法令・指針の遵守
    建設技術審査証明(NETIS)や地方自治体の技術基準、雨水排水条例を確認し、設計図書へ反映することが必須です。

透水性舗装は、雨水管理と環境保全を両立させる持続可能なインフラ技術です。適切な設計・施工とメンテナンスにより、都市や施設の快適性と安全性を長期的に支えます。

以上、今回は「排水処理の基本:透水性舗装の仕組み」をご紹介しました!
次回は「大規模土留め工法の最新技術」をテーマに、擁壁を超える高耐力構造をご紹介します。どうぞお楽しみに!

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