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日別アーカイブ: 2025年5月21日

第3回「未来インフラ素材探訪」

皆さんこんにちは!
堀建設株式会社、更新担当の岡です。

本日は新シリーズ第3回「未来インフラ素材探訪」!
今回は「自己発電コンクリートの可能性」について詳しくご紹介します。

「自己発電コンクリート」とは、構造体自身が外部からの振動・圧力・温度差などを利用して微小な電力を生み出し、その電力をセンシング機器や照明、防犯システムへ供給するコンクリートです。これにより、道路・橋梁・トンネルなどの維持管理コスト削減や、インフラのスマート化が期待されています。

  1. 自己発電コンクリートの仕組み
    自己発電機能を実現する方式は主に2つあります。

① 圧電素子埋め込み型
コンクリート内部に圧電材料(PZTやPVDFフィルム)を配置し、車両通過や歩行などの機械的振動を電力に変換。振動が加わるたびに圧電素子が歪み、そのエネルギーを微小電流として取り出します。

  • メリット:歩道や橋面など振動が継続的に発生する場所で安定発電

  • デメリット:高出力化には大面積の圧電配置が必要

② 熱電発電材料混合型
廃熱や地熱など温度差を利用する方式。セラミックス系熱電変換材料(Bi₂Te₃系など)を微粒子状に混ぜ込んだり、熱電素子をモジュール化して埋設します。昼夜や季節で温度差がある環境で、熱電効果により電力を生成します。

  • メリット:振動が少ないトンネル内壁でも発電可能

  • デメリット:温度差の大きさに発電量が依存

  1. 活用事例紹介
    事例① スマート歩道プロジェクト
    ある自治体では、圧電埋設型自己発電コンクリートを商店街の歩道に導入。歩行者や自転車の通過振動を利用し、街路灯や看板のLED照明へ電力供給を実証。夜間の電力を自給自足することに成功し、防犯カメラへの給電も可能になりました。

事例② トンネル内環境モニタリング
山間部トンネルの内壁に熱電発電混合型を施工。昼夜の温度差約10℃を利用して微小電力を生成し、壁面センサー(ひび割れ検知・湿度測定)へ連続給電。外部電源不要で24時間のモニタリング体制を構築し、維持管理の効率化を図っています。

  1. 導入時のポイントと課題
    発電量と設置コストのバランス
    発電性能を高めるほど材料・施工コストが増加します。目的に応じた発電量設計とコスト見積を事前に行い、費用対効果を明確化しましょう。

耐久性・長期安定性の検証
圧電素子や熱電材料は繰り返し荷重や温度サイクルにさらされるため、埋設前に加速試験で耐久性を評価。劣化率を把握し、メンテナンス周期を設定することが重要です。

電力マネジメントシステムの連携
発電した電力を無駄なく利用するため、超低消費電力のセンシング機器や電力貯蔵システム(小型コンデンサー・バッテリー)との統合が必要。スマートグリッド技術との相互接続も視野に入れましょう。

自己発電コンクリートは、メンテナンスフリーのスマートインフラ構築において欠かせない技術です。今後は、IoTやAIと組み合わせた予兆保全システムへの応用が広がるとともに、被災地の迅速なインフラ復旧にも役立つ可能性があります。未来の街づくりを支える一端として、ぜひご期待ください!

以上、新シリーズ第3回「未来インフラ素材探訪」でした!
次回は「スマートメンテナンスセンサー一体型コンクリート」をテーマに、内部埋設型センサーによるリアルタイム構造診断技術をご紹介します。どうぞお楽しみに!

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